〜朝日新聞1998/06/20朝刊〜
大阪府能勢町のごみ焼却場「豊能郡美化センター」の周辺土壌から高濃度のダイオキシンが検出された問題について、厚生省は高濃度汚染の原因が科学的に説明できていないことを重視し、同センターから排出される汚染物質の拡散メカニズム調査を含めた原因究明に乗り出すことを決めた。
同センターのこれまでの調査では、高さ40メートルの煙突からわずか数十メートル離れた土壌から1グラム当たり8500ピコグラムという高濃度のダイオキシンが検出された。煙突からの距離が遠くなるほど、汚染度は下がっ
ている。
原因については、「ダイオキシン類の付着した排ガス中のばいじんなどが降下した可能性が高い」との結論を出したが、通常、排ガス中の汚染物質は遠くに流されて降下するとされており、厚生省は科学的な説明ができないとしている。このため、同センターの排ガス中の汚染物質がどのように拡散していくかを調べることにした。
厚生省が全国1万基を超える焼却炉を対象にしているダイオキシン規制値も、従来の拡散モデルを使って計算されており、結果次第では、規制のあり方を見直す必要も出てくる。
調査のために、生活環境審議会の廃棄物処理委員会に専門委員会を設置。専門家10人程度で、6月中にも1回目の会合を開く。来年春をめどに結論を出したいとしている。
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