<焼却場管理者は責任ある態度を!!>


 12月1日より、いよいよ
「廃棄物焼却の係わるダイオキシン削減のための規制措置」(http://www.mhw.go.jp/houdou/0908/h0825-1.html)が施行された。
 これによって新設焼却炉のダイオキシン排出濃度はやっと欧米並の0.1ngTEQ/m3まで下げられた。欧米では10年前から実施されていた数値である。既設炉では5年後までなんとその800倍もの80ngTEQ/m3が許されている。この10年間の「まぁ、これ位の数値で大丈夫だろう(1,250ngTEQ/m3)」という基準値のために、日本は高度経済成長に伴い一般ゴミの焼却炉からダイオキシンを絶え間なく排出続けた。このために日本は遠からずベトナム戦争時並のダイオキシン汚染にさらされるであろうと言われている。

「ベトナム戦争の時、アメリカ合衆国が使用した枯葉剤に含まれていた2,3,7,8-ダイオキシンの量は全体で170kg程度です。このダイオキシンによって、南ベトナムでは流産や奇形の発生が増加しているようです。わが国の焼却場などから年間6kgの2,3,7,8-ダイオキシンが放出されているのですから、この状態が30年くらい続けば、180kgのダイオキシンが全国に放出されることになります。」
(長山淳哉著『しのびよるダイオキシン汚染』より)

 このようなダイオキシンの排出状況と、毒性を全国の焼却場の管理者はしっかり勉強してもらいたい。
ダイオキシンの毒性について知れば知る程、宝塚市のクリーンセンター所長のような無責任な発言は許されない。

12月14日付朝日新聞朝刊によれば、宝塚市では、1988年7月、地元住民団体がごみ焼却場(クリーンセンター)でのプラスチック焼却停止を求めて提訴したが、その裁判の最大の争点はダイオキシン類が人体に危険かどうかの評価だったという。
住民側が海外の研究や規制事例を示し、人体への影響を主張したのに対し、宝塚市は「国内では規制値がない」「人体影響に、確立された知見はない」と反論してきた。それまでの国の見解に沿っていたのだという。ここで国が一揆に基準値を下げたことに対し、「一自治体がダイオキシンを研究し、危険性を評価するのは無理。国が早く規制値をつくっていたらこれだけの年月をいたずらに費やすことはなかったろう」などと言っている。これほど住民が馬鹿にされ、健康を損なわされた責任は一体誰がとるのか。焼却場は国のせいにし、国は10年前に設けた高い基準値の責任など誰もとらないだろう。
健康被害を被り続ける住民はあらゆる手段で自らの健康を守らなければならない。無駄なエネルギーを、もっと早くゴミのリサイクル事業等への建設的エネルギーに変えるべきだった。
 今からでも遅くはない、様々な方法でダイオキシン排出ゼロに限りなく近づけよう。


Back