5月22日 朝日新聞朝刊掲載  意見広告

 
 

楽しくリサイクルに取り組む沖縄県屋部小学校の生徒たち
循環型社会の実現に向けて、
 有機廃棄物のリサイクルは重要な課題の一つ。
  そんな中、沖縄生まれの「ヤンバル上田菌」を
   活用した新しい生ゴミ発酵処理システムに、
    今大きな期待が寄せられている。
   圧倒的低コストで、ダイオキシンを出さずに
   あらゆる有機物をたい肥化する、
  このシステムの特徴と可能性を探った。  

病院長としての体験から
生まれた「りぼんちゃん」

 「沖縄に暮らす者として、この土地をもっと肥やしていきたい。そして、医師として、毎日病院から出る大量の生ゴミを安全に処理したい。この二つの思いを実現するために、有機廃棄物の発酵処理システムに着手したのです。」と語る上田裕一さん。

 沖縄にある「もとぶ野毛病院」の理事長、そして、低コストで生ゴミをスピーディにたい肥化する「上田式発酵処理システム」の開発者である。いま、「りぼんちゃん」の愛称を持つこのシステムが、次世代における有機廃棄物リサイクルのあるべき姿として、注目を集めている。

悪臭がなく衛生的で低コスト
使用済み紙オムツも処理。

 処理方法は至って簡単だ。水分調整材を加えた生ゴミをそのまま投入し、90分ほどかくはん(通常運転時)。これで一時発酵を完了し、有機肥料ができあがる、更に熟成たい肥にする場合はこれをもとに工場で二次発酵を行う。

 「このシステムの最大の特徴は、私たちが沖縄で培養に成功した『ヤンバル上田菌』による自己発酵熱を利用することにあります。まず、焼却を一切行わないので、有害なダイオキシンは発生しません。また、外から加熱しないので、エネルギー消費量が抑えられる上、短時間で大量処理が可能であることから圧倒的低コスト化が実現できます。さらに、高温で処理する(※グラフ参照)ため、通常の病原性細菌はすべて死滅するので、衛生的。悪臭などの心配もないのです」と上田さんは語る。
 「生ゴミ以外でも、可燃ゴミならほとんどすべて処理できます、たとえば使用済みの紙オムツ。破砕作業さえ済ませてあれば、他と同様にたい肥かが可能です」

 処理機の仕組みにも、シンプルながら工夫が凝らされている。「ヤンバル上田菌」が最も働きやすい環境を追求し、本体をすり鉢形に設定。構造そのものが簡素なため、故障によるシステムダウンの心配がないのもメリットだ。

小学校の環境教育にも活用
各所で導入の動き広がる

 この「りぼんちゃん」を導入し、ゴミ処理を通じて、児童たちへの環境教育を実施している学校がある。沖縄県名護市屋部小学校では、生徒が毎日プラスチックバケツに入った生ゴミを投入、校内で一次発酵を行っている。
「一次発酵済みの有機肥料は当社の職員が受け取り、工場で二次発酵させた後、完熟たい肥として学校に戻します、この肥料で育てた草花は、とても元気がいいと、先生や生徒のみなさんにも好評です。」

 こうした取り組みは、地元でも期待とともに受け止められ、すでに将来をにらんだ新しい動きが各所で本格化している。
  その一つが名護市と共同で行っているパイロットスタディー。名護市の可燃ゴミを収集車から直接、日本ライフセンターの工場に搬入し、その場で処理を行っている、また、名護サミット推進市民会議にも、サミット会場への導入を提案している。

 「ネーミングの『りぼん』には、英語のreborn−再生という意味が込められています。このシステムを通じて、子供たちが環境を守ることの大切さを学んでくれればうれしいですね」と上田さん。環境の時代といわれる21世紀を見据えたこの試みは、いま大きく広がろうとしている。
 
 

 

オガクズが堆肥化する様子(通常運転時)

オガクズ
   
混合直後
37.1℃
30分
52.4℃
1時間
67.9℃
1時間30分
37.1℃
2時間
90.4℃
2時間30分
96℃
3時間
98.7℃

 

 

「りぼんちゃん」の発酵温度曲線
(断熱密閉状態)


 
時間 分
 

うえだ式発行処理システム「りぼんちゃん」
本体 幅-1100mm 高さ-1870mm

通産省平成11年度創造技術研究開発補助金交付決定
題目「発酵槽容量に制限されない大量連続発酵処理システムに関する研究開発」

(財)おきぎんふるさと振興基金 平成11年度7月受賞
題目「使用済み紙オムツの堆肥化技術開発」

2000NEW環境展NXPO2000に出展