〜髪を切られたキジムナー〜
話者:古波幸子
私が小さい頃、おばあちゃんから聞いた話。
近所のおじさんが畑に出かけて、カマで草を刈っていた。
草をつかんでは刈って、つかんでは刈って、、、、
と突然ぎゃ!と悲鳴が聞こえた。
草の中からキジムナーが頭を押さえ起きあがってきたんだ。
おじさんはびっくりして、カマを放り投げ逃げ出した。キジムナーも逃げた。
しばらくしておそるおそる畑に戻ってみると、キジムナーの姿はどこにもなく、放り出されたカマの側には赤い髪とカタツムリの殻がたくさんあった。
カタツムリを食べた後眠くなって昼寝でもしていたんだろうね。
古波:昔は、カタツムリも食べたよ。
岡村:えっ!カタツムリって食べられるんですか?
古波:捕まえた後、かずら(芋の葉)を5日ほど食べさせ泥を出させる。 ゆでて食べるんだ。
岡村:味はどうですか?
古波:巻き貝みたいな味だね。
岡村:あぁ、チンボーラーみたいな味ですね。
古波:そうそう
街灯もない山道を車を走らせる中、古波さん語ってくれました。
その夜は風が木々をざわめつかせ、薄墨を流したような雲の間から半月が見え隠れ....
樹の影にキジムナーの幻を見たような気がしました。(岡村@てくたく山原隊1997/10/11)
※キジムナー:ガジュマルに住み着く森の精
※チンボーラー:磯にいる巻き貝の一種
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