「ダイオキシン・環境ホルモンを環境庁が全国調査へ」

補正予算33億円



〜朝日新聞1998/05/12朝刊〜

 環境庁はダイオキシンと環境ホルモンについて、大がかりな全国一斉調査を行うことを11日決めた。ダイオキシンについては都道府県と政令指定都市を網羅する401地点を選び、一般環境中の大気、土壌、水質などの濃度を調 べたり、ごみの焼却施設や最終処分場から出ている排水を調べたりする。環境ホルモンについては、約70の化学物質について、製造したり取り扱ったりしている工場・事業所のうち約300施設の排水の調査や鳥やほ乳類にどれだ け蓄積しているかを調べる。これまで予算の制約もあり部分的にしか行われてこなかったが、補正予算案で33億円が認められたため、調査規模はほぼ10倍に拡大する。
 ダイオキシンでは、全国都道府県と政令指定市から401地点を選び、大気、土壌、底質(川や海などの泥)、川、海、湖、水生生物、鳥、海洋ほ乳類などの汚染の状況を調べる。特に、日本のダイオキシン汚染の大半を占める といわれるごみ焼却施設は土壌汚染に注目、数十の焼却施設を選び、1施設の周辺地域につき10地点ずつ調べる。大気や地下水なども調べる。
 ダイオキシンの法規制の対象外となっている産業廃棄物を中心とする小型焼却炉についても70カ所で、排ガスの濃度を初めて調べる。また、ダイオキシンを含む焼却灰が持ち込まれている一般ごみの埋め立て処分場のうち、遮水シートや廃水処理施設がない素掘り処分場の近くの地下水や汚水を調査する。さらに一般ごみと産業廃棄物の大型の焼却施設のうち52施設では排水を調べる。
 一方、環境ホルモン物質のうち農薬のシマジンなど67物質については、全国240カ所で、大気、水質、底質、土壌などの濃度を調べる。

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