「処分場アセス、水源も考慮−厚生省が指示」

排水基準を厳格化



 廃棄物の処理施設設置をめぐって全国各地で訴訟や紛争が相次いでいるが、厚生省は7日、最終処分場を設置する際に、水道水源を考慮した生活環境影響調査(アセスメント)を設置者に義務づけるよう、都道府県に指示した。実質的に処理施設の排水基準は大幅に厳しくなる。水源水質を配慮して排水基準を決めるのは初めて。施設の集中立地を抑制することにもつながり、全国に影響を与えそうだ。
 厚生省の新方針は、改正廃棄物処理法の6月17日の施行を前に、改正法と政省令の具体的な指針という形で示された。
 通知は、処理施設の排水口下流の水道取水地点などで利水上の影響がないか分析し、環境基準の目標と分析結果を環境影響調査に記載するよう求めている。水源の取水地点の水質基準を守れるかどうかで、処理施設の排水基準が決まることになる。
 改正法に定められる処理施設の設置手続きは、業者や市町村などの設置者に生活環境影響調査を行うことを義務づけている。知事は申請書や環境影響調査書を告示・縦覧し、市町村長や「利害関係を有する者」の意見を聴取。さらに、専門家の意見を聞き、設置許可については科学的な判断をするよう求めている。
 この日の通知では、「利害関係者」の範囲を周辺住民だけでなく、予定地周辺で事業を営んでいる者なども規定、実質的に水道事業者を含めた。
 これまでの排水基準は水質汚濁防止法に基づく全国一律の数値で、生物化学的酸素要求量(BOD)にすると、平均120ppmとされてきた。実態は20〜30ppmに抑えられていたが、改正法では水源水質への影響を考慮するため、さらに厳しい基準になる。また、すでに処理施設が立地されている場合などは基準を満たすことができないこともあり、集中立地しにくくなる。

〜朝日新聞1998/05/08朝刊〜

Back