NEC資源環境技術研究所(川崎市)は、高温になっても有毒ガスを出さない難燃性プラスチックの開発に成功した。繰り返しの加熱に強く、最低5回のリサイクルにも耐えるという。近く、自社パソコンの部品として実用化する予定だ。 このプラスチックはコンパクトディスクなどに使うポリカーボネート樹脂に、ケイ素化合物のシリコーンを数%の割合で添加。シリコーンは細かく樹脂になじむように加工してあり、成形時にはプラスチック中に均等に分散する。 しかし、プラスチックが燃え出すような800度ぐらいの高温になると、樹脂より先にシリコーンが液状化する。樹脂のすき間を移動して表面にしみ出し、難燃層を作って着火を防ぐため、燃えにくくなる。 パソコンやテレビなど、熱が出る家電製品に使うプラスチックには燃えにくさが求められる。このため、従来は難燃剤として臭素系やリン系化合物がプラスチックに添加されてきた。 しかし、臭素系難燃剤は、燃える時に有毒ガスを出すうえ加熱に弱いためリサイクルしにくい。リン系は耐熱性が低いため大量に添加しなければならず廃棄した時にリン分が環境中に出ることになる。 そこで欧州を中心に脱臭素、脱リンを求める声が強まっており、次世代の難燃剤として生体材料にも使うシリコーンが注目された。 このプラスチックは繰り返しの加熱にも強く、部品を加熱して粒状にしたうえ、再成形するなどのリサイクルにも適しているという。 〜朝日新聞1998/05/05朝刊〜
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