厳しい基準求める住人 厚生省が省令として今月示したのは、焼却場から出る煙のダイオキシン類濃度の規制基準値である。この数値が地方に混乱を招いている。最も厳しい値は新施設の場合で、煙一立方メートル当たり0.1ナノグラム(1ナノは十億分の一)以下。だが、処理能力低い既設焼却炉の規制値はその百倍だ。そのうえ既設の場合、省令施行後の一年間は何の規制もなく、その後の四年間も80ナノグラム以下でよいとされている。 兵庫県の西部、宍粟(しそう)郡千種町の宍粟環境美化センターはダイオキシン類濃度が全国で最も高かった。 住民らの要求で四月、操業停止に追い込まれ、厚生省の規制値を満たすため新たに十七億二千万の予算を組んだ。ダイオキシン類濃度を五ナノグラムいかにする回収計画だった。 だが、ここでも住民の反対に遭う。「0.1ナノグラム以下でなければ認められない」と最も厳しい値を求められ、入札を延期せざるを得なくなった。 〜朝日新聞1997/12/14朝刊より〜
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