「ダイオキシン、母乳濃度は許容量の7倍」

厚生省調査「20年前は今の2倍」


 猛毒の発がん性物質ダイオキシン類の母乳中に含まれる濃度が、1970年代前半は1996年に比べ2倍高かったことが7日、厚生省の調査の中間報告でわかった。半減している最近の濃度でも、1日体重1キロあたりの摂取許容量の7倍程度になっている。厚生省は「赤ちゃんは母乳を一生飲み続けるわけではなく、何らかの影響が出ている証拠はない」といい、健康への影響については今後の課題としている。
 厚生省は23年分の年次推移調査と、埼玉、東京、石川、大阪の4都府県の調査を1997、1998年度にわたって続けている。
 年次推移調査は、大阪府公衆衛生研究所に凍結保存されている1973年から1996年(1987年を除く)までの母乳を使用。毎年19人から39人(平均28.2人)の母乳を混合して分析した。
 それによると、最も濃度が高かったのは1974年で、ポリ塩化ジベンゾダイオキシン(PCDD)とポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)を合わせたダイオキシン類の濃度は、脂肪1グラムあたり32.1ピコグラム(1ピコは1兆分の1)。1996年の16.3ピコグラムに比べて2倍だった。
 濃度は年々、下降傾向だが、厚生省は「推測の域を出ないが、1970年代の方が食べ物に含まれるダイオキシンの量が多かったのかもしれない」としている。

〜朝日新聞1998/04/08朝刊〜

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