研究結果は、名古屋市で開かれている日本農芸化学会で2日、発表される。 調査は、自治体の大規模ごみ焼却場と隣接する民間の産廃焼却場を中心にした半径40キロの地域で、点在する10カ所の中規模牧場を選定した。 地域名を公表しないことを条件に各畜産農家に協力を求め、昨年4月と12月の2回、しぼりたての牛乳と、その牛乳から水分を抜いてバターなどの原料となる乳脂肪のダイオキシン濃度を調べた。 この結果、
中心から5キロ以内では0.2pg 10キロ地点では0.1pg 20キロ地点では0.05pg 30キロ地点では0.04pg 日本には牛乳や乳製品のダイオキシン規制はない。しかし、0.2pgが検出された牛乳を2,500cc飲むと、ダイオキシンの摂取量が500pgになり、体重50キロの人では「1日に体重1キロ当たり10ピコグラム」としている厚生省の許容摂取指針に達する。この指針は欧州各国に比べて甘い、との専門家の指摘もある。中野教授は「他の食品に含まれるダイオキシンも一緒に摂取されるので、明らかに問題のある数値」としている。
中心から5キロ以内で4.6pg 以下、10キロ地点で2.3pg 20キロ地点で0.94pg 30キロ地点で0.64pg また、各牧場の土壌と牧草のダイオキシン濃度も中心に近いほど高く、「ダイオキシンは残留性が高いので、食物連鎖と生物濃縮で牛乳に残った」と、分析している。 厚生省は市販の牛乳について1996年度に3検体のダイオキシン濃度を測定、平均0.006pgと公表している。 ●「早急な調査、規制が必要」 中野教授は「今回の調査地点は比較的環境の良い地域で、都市化の進んでいる地区ではもっと高い数値が出るのではないか。国が早急に広域的な調査を実施し、規制する必要がある」と話している。 〜朝日新聞1998/04/02朝刊〜
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