ごみ焼却炉から発生するダイオキシン類の9割程度は煤塵に含まれているとみられ、中央環境審議会も昨年6月の答申で規制強化を求めていた。 大気汚染防止法に基づく現行のごみ焼却炉の煤塵排出規制は、大型の連続炉で1立方メートルあたり煤塵の重量が0.15g以下、小型の連続炉や連続炉以外の焼却炉で0.5g以下となっており、火力発電所などの施設と比べて緩い基準だった。 現行では東京、大阪、名古屋、福岡など大都市地域の新設炉に限って、0.08〜0.25gという厳しい基準を設けているが、焼却炉は郊外に集中することも多く、大気汚染防止法の施行規制の改正による新しい規制は地域や炉の形状による区分けを撤廃した。処理能力が1時間に4トン以上の焼却炉は、新設分が1立方メートルあたり0.04g、既設分が0.08gグラム。2トン以上4トン未満が新設分0.08g、既設分0.15g、2トン未満が新設分0.15g、既設分0.25gグラムとする。 ごみ焼却炉からのダイオキシン類については、昨年12月から大気汚染防止法の指定物質による規制が始まったが、罰則規定はなく、廃棄物処理法の罰則は行政側からの施設の改善命令に従わなかった場合などに限られている。また、2002年末までは、ダイオキシン類の濃度について1立方メートルあたり80ナノグラム(1ナノグラムは10億分の1グラム)以下という緩い基準が適用される。 今回のばいじんの規制強化では(1)焼却炉の事業者にダイオキシン類の低減対策の前倒しを促す(2)排煙の色の濃さで違反しているかどうかが分かるので立ち入り調査をしやすい(3)違反すれば、50万円以下の罰金や6カ月未満の懲役などに問えるなどの利点がある。 規制の対象となる1時間に200kg以上の処理能力がある焼却炉は、一般廃棄物と産業廃棄物を合わせて全国に約1万1000カ所ある。今回の規制強化で2年後には全国のごみ焼却炉からの煤塵の排出量の3割が削減されると推計されている。環境庁は「黒い煙が出ていれば違反しているのが分かるので、悪質な業者を締め出しやすく、ダイオキシン類の低減対策の前倒しが期待できる」と話している。 〜朝日新聞1998/03/28朝刊〜
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