日本もダイオキシンなどPOPSの国内対策だけでなく、途上国への資金・技術援助などにも乗り出す必要性が出てきた。 POPSは自然界では分解されにくく、有毒性が長い間残る。食物連鎖などを通じて人体に蓄積されやすく、高濃度ではがんなどを引き起こす。最近は低濃度でも生殖能力などを低下させる内分泌撹乱物質(環境ホルモン)としての働きも注目されてきた。 議定書案はPOPSの大気中への排出を最終的にゼロにするのが狙い。16種類のPOPSのうちアルドリンなど9種類の殺虫剤は議定書の発行と同時に生産、使用、輸入を禁止。ごみ焼却などの際に排出されるダイオキシンなど、副産物として生成される4物質(うち1物質は殺虫剤と重複)は1990年レベルよりも排出量を減らすことを求めた。 段階的に生産、使用を削減してゼロを目指す3種類の物質のうち、DDTは公衆衛生上の緊急時の使用目的を除いて生産、使用、輸入を禁止。コンデンサーなどの絶縁材に使われているポリ塩化ビフェニール(PCB)は生産を禁止し、使用中のものは2015年までに完全に廃棄するよう明記している。 締約国には@削減を進めるための国内戦略の策定A代替技術の開発、技術の移転B物質の持つ有毒性や代替措置などの情報提供Cダイオキシンなどは排出源の目録作成−などを義務付けている。 日本でこれら16種類の大半は、生産が禁止になっていたり、製造実績がない。しかし、ごみ焼却場からの排出が問題になっているダイオキシンや、産業廃棄物として15万トン以上も国内に蓄積されているPCBなどは、国際規制の条約が作られれば、早急は排出削減を求められそうだ。 【POPS規制】 国連環境計画(UNEP)の主催で1995年にワシントンで開かれた「陸上活動からの海洋環境保護に関する政府間会合」は、法的拘束力のあるPOPS規制を求める宣言を採択した。その後、各国政府が参加した「化学物質安全性政府間フォーラム」の勧告を受け、UNEPは1997年2月の管理理事会で、12物質を対象に生産や使用などを規制する国際条約の作成を始めることを決定、今年6が打つから交渉会議がスタートする。 一方、UNEPと国連食糧農業機関(FAO)が進めていた有害化学物質と殺虫剤の国際貿易に事前承認を義務付ける条約は3月に、95カ国の賛成でまとまった。途上国側がどのような有害物質が含まれているかを事前に知ることで、輸入禁止などの措置を取れるようにするのが狙い。 〜沖縄タイムス1998/03/23朝刊〜
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