「母乳からのダイオキシン、指針値の7倍にも」

埼玉県調査


 埼玉県が県内の女性100人から採った母乳中のダイオキシン濃度の調査結果が19日、明らかになった。母乳中の脂肪1グラムに含まれるダイオキシン類は、最も毒性の強い種類に換算すると、平均15ピコグラム(ピコは1兆分の1)で、乳児が1日に摂取するダイオキシン類の量は、国が示した安全のための指針値の7倍以上になる計算だ。専門家は「国外のこれまでの調査結果に比べて高いとはいえないが、母乳が広い範囲で汚染されていることが分かる」と指摘している。
 100人を対象とした母乳中のダイオキシン濃度調査は、国内で最大規模だ。
 調査は昨年11月から今年1月まで実施した。25歳から34歳の女性を対象に、コプラナーPCBを除くダイオキシン類について結果をまとめた。母乳脂肪1グラム中、最高で76ピコグラム、最低で2.8ピコグラムだった。平均値は、1986年から1989年にかけて世界保健機関(WHO)がドイツで調査した28から37ピコグラムや、カナダでの16から23ピコグラムより低かった。
 一方、母乳1ccあたりの濃度は県平均で0.6ピコグラム。乳児は体重1キロあたり1日に120ccの母乳を飲むとされ、今回の調査ではダイオキシン類72ピコグラムが含まれる計算になる。厚生省が示した1日の耐容摂取量である1キログラム当たり10ピコグラム以下を大幅に超えた。

〜朝日新聞1998/03/20朝刊〜

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