調べでは、社長らは1月から2月にかけて、フィリピンへの輸出目的で集めたコンテナバッグ入りの残灰を県内に不法投棄していた疑い。県警は今後、「輸出」の実態解明や、同社に残灰を渡していた精錬業者らについても関連を調べる。 新たに残灰が見つかったのは、約160tが不法投棄されていた袋井市の田んぼから南東に約7.5km離れた大東町浜野の海岸近くのさら地。同じ1トン入りのコンテナバッグが高さ約3mまで3段に積み重ねてあり、シートがかぶせられているが、一部はめくれあがっている。アンモニア臭が薄く漂っているが、一番近い民家まで100mほど離れており、今のところ苦情は寄せられていないという。 県などの調べでは、同社社長は2月6日、同県掛川保健所にこの残灰の保管について相談に来た。二次精錬業者から1トン当たり50円で買っていると説明する一方、1トン当たり12,050円の「作業料」を取っていることは話さなかったため、同保健所は残灰を「有価物」と判断した。さらに社長は同17日、大東町役場へ保管の了解を求めに来ており、「フィリピンのリサイクル会社に輸出する。積み出し港を名古屋港から近くの御前崎港に変えたいので、町内に保管場所をみつけた」と話した。残灰については、愛知、静岡、埼玉の各県にある精錬工場から買い取ったと説明したという。 残灰は同17日に約300tが運ばれ、同25日までに数回にわたって野積みされた。翌26日、社長が恐喝未遂容疑で逮捕され、搬入は終わった。 県廃棄物対策課は、御前崎港からフィリピンに残灰が輸出されているかどうかを港管理事務所などへ確認したが、積み出しの予定や実績はないという。県警の捜査では、同社が二次精錬業者から「作業料」名目で事実上の処分料を受け取っていた疑いがあり、県は産廃に当たる疑いが強いとして、撤去などの行政指導を検討している。 〜朝日新聞1998/03/19朝刊〜
|