ごみ焼却施設から排出されるダイオキシンの規制は昨年末から始まったが、既に汚染の進んでいる土壌については放置されたまま。まとまった調査例も極めて少ないのが実情。脇本教授は「今後、どう対策をとるのかが大きな課題だ」と指摘している。 脇本教授らは、松山平野を東西、南北各方向2Kごとに区切り計約130地点で土を採取。これまでに37地点を分析した。 水田(13地点)の土壌1gあたりのダイオキシン類濃度は、最も毒性の強い2・3・7・8四塩化ダイオキシンに換算した数値で226〜4.5ピコグラム。 これに対し、神社や寺の境内など(4地点)は55.8〜13.2ピコグラム、都市部の公園(7地点)が9.4〜1.5ピコグラム、最も汚染度の低い山間部の森林(13カ所)は8.3〜0.6ピコグラムだった。 日本には土壌の環境基準はないが、ドイツでは農業地で40ピコグラム、運動場で100ピコグラムの基準が設定されており、水田のダイオキシンはこれらを大きく上回るところが多かった。 さらに松山平野の2つの河川と、河口、沿岸海域の川底の泥のダイオキシン類を詳しく調べたところ、210種類あるうち、現在は使用が禁止されている除草剤に混在していたダイオキシンの濃度が特に高いことが判明。 この組成は、女流にある水田の土壌のものとも一致し、汚染された水田の土壌が水を張る際などに流出していることが分かった。 脇本教授は「土壌のダイオキシンは農作物には直接吸収されないが、川や海を通じて沿岸域の魚介類に摂取されていることが予想される」と話している。 〜沖縄タイムス1998/03/16夕刊〜
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