調査は、全都道府県の一般廃棄物の担当部署に、焼却炉の燃焼方式(熱した砂を舞い上げる流動床か、格子の下から空気を送って燃やすストーカ方式か)▽冷却設備の種類(ガス冷却設備を炉の真上に置く炉頂型か、別に設ける別置型か)―の2点を質問した。全国1,641施設の87%にあたる1,430施設のデータを得た。 一方、厚生省の調査は全施設を対象に実施。排煙のダイオキシン濃度のほか、炉の運転方式(連続運転か、1日16時間程度の准連続運転か、8時間程度のバッチ炉か)、集じん器の種類(静電気を利用する電気集じん器か、ガラス繊維などでろ過するバグフィルターか)などについて、昨年4月から10月にかけて順次公表された。 これらのデータを、朝日新聞社が専門家の協力を得て分析し、各組み合わせごとのダイオキシン濃度の平均値、濃度別の分布状況などを調べた。 この結果、「流動床▽炉頂型の冷却設備▽電気集じん器▽准連続運転」の組み合わせの施設で、平均ダイオキシン濃度が1立方メートルあたり138ナノグラムとなり、厚生省の緊急対策基準である80ナノグラムの1.7倍に達していることがわかった。この組み合わせの施設は計28カ所、このうち10施設は緊急対策基準を超え、300ナノグラムを超えた施設も4カ所あった。 流動床は炉床面積が狭く、炉頂型は冷却水を炉内に降り注がせる構造で、燃焼に悪影響が出やすい。電気集じん器はダイオキシン除去の効果が小さく、これらの相乗作用によって高濃度のダイオキシンが発生するとみられる。 厚生省は昨年1月、ごみ焼却施設のダイオキシン濃度の基準や低減対策を盛り込んだ新ガイドラインを緊急にまとめ、電気集じん器よりもバグフィルター、炉頂型のガス冷却設備よりも別置型が望ましい、などと指摘した。しかし、具体的な根拠は示しておらず、流動床の問題点にはまったく触れていなかった。 ●厚生省の新ガイドライン作成にかかわった酒井伸一・京大環境保全センター助教授の話[冷却設備など個々の方式についての指摘はすでにあったが、特定の組み合わせの施設にこれほど高い濃度が出るとは予想していなかった。この結果を見れば「特定炉」を中心とした対策を優先させる必要がある。今後の新たな対策づくりなどにも役立つ貴重なデータだ。] 〜朝日新聞1998/03/11朝刊〜
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