一般廃棄物処分場3割『不法投棄』状態

進まぬ国の防止対策


 《解説》市民には自治体による「不法投棄」としか見えないのではないか。一般廃棄物処分場の3割が、遮水や汚水処理などの設備を持たず地下水を汚染している心配があることが判明した。埋め立てているものを見ると、ダイオキシンが高濃度に含まれている焼却灰以外にも家電や家具などの粗大ごみが多い。
 廃棄物の焼却後に残る焼却灰や飛灰には、1g中数10〜数100ナノグラムのダイオキシンを含む可能性がある。ダイオキシンは水に溶けにくい物質とされるが、環境庁の調査では、河川や湖などの水質から微量ながら検出されている。
 摂南大学の宮田秀明教授によると、潜在や酸性雨などに触れるとダイオキシンは水に溶けやすくなり、地下水に浸透していくという。
 ごみ焼却場の灰にダイオキシンが含まれていることは、日本では1979年に堪忍されたにもかかわらず、自治体は20年近くにわたって素堀りなどの処分場に捨て続け、国はこれを放置してきたことになる。
 厚生省は「一般廃棄物処分場の設置は届け出制で罰則規定がない」と言い訳するが、範を示すべき行政自らが「不法投棄」をいわば黙認してきた責任は重い。問題のある処分場は直ちに搬入を停止するのはもちろん、環境著などの調査で汚染が確認された場合には、掘り返して適正な処分場に埋め直すなど対策が求められる。
 今回の調査には、全国約2700カ所ある産業廃棄物処分場は含まれていない。産業処分場については、設置許可の際に立ち入り調査をしているというが、環境庁の1994、1995年度の調査では、82カ所から水銀、カドミウム、鉛、ヒ素などが検出されており、産廃処分場についても早急な全国調査が必要だ。
 市民だ引退の調査では、ごみ処分場の建設をめぐって全国で約400カ所が住民投票なども相次いでいる。これより処分場の不足が問題になっている。しかし行政がごみ問題に対して意識が低い状態では、住民の理解を得るのは難しい。

〜朝日新聞1998/03/07朝刊〜

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