ポイ捨てが激減 都教委によると、今年度新たに自販機を設置した都立高は神代、清瀬東、篠崎、農産、鷲宮、武蔵野北、拝島、久留米西、瑞穂農芸の9校。全校が同時に回収機を導入した。 飲料メーカーによると、都立高に回収機が置かれ始めたのは1993年から。以後5年間で約50校に広がった。自販機のある2校に1校の割合だ。 飲み物の販売を福利厚生と位置づけている都教委が市価よりも安く売るよう指導していることも、各校にデポジット制導入を促す結果になっているようだ。 3学期から自販機と回収機を校舎内に2台ずつ並べた久留米西高(東久留米市)の場合、1本100円で市価より10円安く、缶を返すとさらに10円戻ってくる仕組みだ。 昼休みには、自販機の前に長い列ができる人気だ。それまで登校途中にコンビニなどで飲み物を買っていた生徒の多くが、校内の自販機を利用するようになったという。 昼食後は一転、回収機がにぎわう。「10えんといえども貴重です」と生徒の一人。缶のポイ捨てはもちろん、ゴミ箱に捨てる生徒もめっきり減ったという。 生徒会担当の伊東龍一教諭によると、昨春、生徒会から自販機設置を求める要望が出た。昼休みに業者が紙パック入り牛乳などを売っているが「もっといろんな飲み物が欲しい」という理由だった。 空き缶の散乱を心配する先生も多かったが生徒たちが他の都立高9高を調査して、回収機の効用を報告。学校側は、回収機を同時に設置することで、自販機を承認した。 1月の実績は販売本数3,000本、回収本数3,600本で、回収率120%。100%を超えるのは、外から空き缶を持ち込んでこづかい稼ぎをする「ちゃっかり組」がいるためだ。 ちゃっかり組は、回収機を置く学校にはどこにもいるようだ。これに対し負担をかぶる飲料メーカーは「環境問題と、清涼飲料を一番消費する世代への『投資』を考えれば、多少の損はやむを得ない」とおうようだ。 伊東教諭は「そもそも高校に清涼飲料の自販機が必要かという議論は今もあるが、回収機を置いたのは成功だった」と話している。 〜朝日新聞1998/03/04朝刊〜
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