環境庁が1996年度に実施したダイオキシン汚染実体追跡調査で、前項35地点で採取したすべての魚類からダイオキシン類が検出されていたことが7日、わかった。前年度の13地点から急増した。環境庁は「検出精度が向上したためで、濃度などの汚染状況が大きく変化したわけではない」と説明しているが、汚染が全国に広がっていることが裏付けられた。 調査は毎年実施しており、96年度は川、湖、海域の35地点の魚類と36地点の底質(底土)を分析した。それぞれすべての検体からダイオキシン類を検出した。 最も毒性が高い「2・3・7・8四塩化ジベンゾ・パラジオキシン(TCDD)」は、魚類25検体(前年度2検体)、底質16検体(同)から検出された。検出地点が急増したのは、検出精度が10倍向上したためで濃度はそれぞれ前年度を下回った。 他のダイオキシン類を含めた2・3・7・8TCDDの換算値でみると、魚類で最も高いのは北上川のウグイの4.5pg/1gで、以下琵琶湖北湖のフナ3.6pg/g、新河岸川のコイ3.1pg/g、東京港外のスズキ2.3pg/g、神戸港のスズキ3.3pg/gの順になっている。前年度の最高値は大阪湾の7.5pg/gだった。 2.6pg/g以上の魚を日本人の平均摂取量である1日約100g食べると、計算上は環境庁が健康のための指針としている体重1kg当たり1日5pgを上回る。しかし環境庁は「種類や個体によってばらつきがあるので、サンプルが少ない調査では判断できない」としている。 また同時に発表した96年度の化学物質環境安全性総点検調査では、生殖機能に影響を及ぼす可能性が指摘されている内分泌撹乱物質も多くの地点で検出された。合成樹脂(ポリカボネート)の原材料の「ビスフェノールA」は調査地点の6割の底質と4割近くの水質から、プラスチックに含まれるフタル酸ジプチルは3割の底質と水質から検出された。 〜朝日新聞1998/01/08朝刊より〜
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