「微粒子が精子生産下げる/ディーゼル車の排ガス」



〜琉球新報1998/10/06朝刊〜

 ディーゼル自動車の排ガスに含まれる微粒子に、精子の生産能力を低下させる働きのあることが、東京理科大薬学部の武田健教授(衛生化学)と大学院生の吉田成一さんらのマウスを使った実験で5日までに分かった。

 精巣内部にあって精子をつくる精細管の異常も約一五%増加するなど、精巣の組織的異常も判明し た。

 ディーゼル排ガスの微粒子はこれまで主に、ぜんそくや肺がんなどの呼吸器疾患との関連が研究されてきたが、内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の問題が広がりを見せる中、今後は生殖機能への悪影響も注目されそうだ。

 微粒子は、ディーゼル車の発進時などに出る黒煙の粒子で、発がん物質やアレルギー反応を促進するさまざまな化学物質が、主成分の炭素と結合した構造。

 武田教授らは、空気1立方メートル辺り0.3mg、1mg、3mgの3通りの微粒子の濃度を設定。

マウスに1日12時間の割合で半年間吸わせ、微粒子を吸わなかったマウスとの間で精巣1g当たりの1日の精子生産能力を比較したところ、生産能力の減少率はそれぞれ21%、36%、53%に達した。

Back