「私の見た環境先進国ドイツ<上>−金城春子」

ごみ収集は有料家庭の分別徹底



〜琉球新報1998/07/06朝刊〜

 環境先進国の実情を学ぼうと、5月に県内からごみ処理業者や建築士、デザイナー、県議ら6人がドイツを訪れた。現地で見た具体的な取り組みを、メンバーの金城春子さんに報告してもらう。
 ドイツでは黒い森が酸性雨で大きなダメージを受けたことをきっかけに、国を挙げて環境問題に熱心に取り組んでいる。今回、環境問題に詳しいNHKサービスの石沢清史常務理事とフライブルクを中心に、チューリッヒ、ケルンを訪ねる旅に参加した。
 チューリッヒではダイオキシンの心配のない巨大なごみ焼却炉、ケルンでは世界最大規模の環境産業見本市エントゾルガを見た。フライブルクでは、そこに住み環境問題を研究している今泉みね子さんの案内で、市民の台所のごみ処理などを詳しく見ることができた。
 訪ねたお宅は築200年の古い石造り3階建てで、庭を共有して3世帯が住んでいる。庭には二つのコンポストがあり、ここで生ごみを処理する。
 今泉さん宅ではミミズを入れた生ごみコンポスト器が室内にもあった。大 きなごみ袋には新聞紙、紙箱、チラシ、段ボールなど、次の袋にはプラスチック空き箱、ヨーグルトカップ、スチール缶、紙との合成物などの複合包装材。ごみ缶には、ちり紙、たばこの吸い殻、ガラスの破片など、たらいには野菜くず、コーヒーかす、枯れた花など。
 そのほか、緑のマークのついたびん、牛乳やミネラル水のリターナブルびんなどがまとめてあり、店に返す。これらのごみは外のごみ箱に分別して捨てる。収集は有料なので、捨てる分が少ないほどお金がかからないようになっている。
 街には自動販売機などなく、使い捨て容器を多く使うファストフードの店もたった一軒がとても遠慮がちにあった。スーパーでの買い物もみんなカゴか袋を提げて行く。
 子供たちの文具もリサイクルマークがついている。ノートには表にも裏にもリサイクルの大事さが描かれている。揮発性のフェルトペンなども、空気を汚すということで色鉛筆にするよう入学時から指導され、子供たちが親に教えるそうだ。教科書も無料で配布されるが、カバーをつけ大事に使い、次の人にわたす。手元に残したい人はお金を払えばよいという。
 授業では、「生徒たちが買っている物の産地調べ」をして、どのぐらい遠くから運ばれているかを調べる。それにかかるエネルギーを知ると、できるだけ地元でできたものを使う方がよいと知ることができるという。

きんじょう・はるこ

    1947年、読谷村生まれ。
    大分大学教育学部卒。
20年以上前から環境問題に関心を持つ。現在は健康食品関連会社「風の村」代表。

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