〜琉球新報1998/07/02夕刊〜
このほど、環境ホルモン問題に取り組む九つの市民団体が東京都内に集まり、問題解決のための情報交換のネットワーク、「環境ホルモン全国市民団体テーブル」(座長・富山洋子日本消費者連盟運営委員長)を結成し、記念シンポジウムを開いた。
A正確な情報収集に努め、広く市民に伝える Bより広範な連携が不可欠 C自らの生活の見直しから始める この日のシンポジウムでは、世界自然保護基金(WWF)主席科学顧問のマイケル・スモーレン博士が、「汚染物質による神経毒性と行動異常」をテーマとした記念講演を行った。 スモーレン博士は、「多くの人が、環境ホルモンはホルモン作用に影響を与えると考えているが、本当はずっと幅広い問題だ。環境ホルモンは生殖器官の発育や、生殖能力の変化もコントロールする」と指摘した。 また、博士は北米の五大湖の生態系に、環境ホルモンによるとみられる異常が確認されたことなどを発表した。5大湖の魚を食べた母親から生まれた記憶障害を持つ子供の、血液中のポリ塩化ビフェニール(PCB)濃度を調べたが、乳幼児期には濃度が高かったが、11歳では数値的に普通の子供と差がなかったという。同博士は「環境ホルモンの体内濃度は、季節のように変化する。しかし、人体の機能や発育への影響は、その後もずっと続く」と、警告を発した。 記念講演の後は日本、米国、韓国、オーストラリア、フィリピン、マレーシアの研究家や市民団体の代表による、パネルディスカッションを実施。各国の現状や取り組みを報告し合い、今後、緊密に情報交換をしていくことを確認した。 「市民団体テーブル」では今後、塩化ビニール製品の使用削減や、ごみの分別管理を、行政と協力していく方針。また、一般市民への活動報告や啓発を兼ねた講演会を、月に一回実施する。 連絡先:日本子孫基金 電話03(5276)0256 |