〜沖縄タイムス1998/10/17朝刊〜
建設省は16日、生物の生殖機能への悪影響が指摘されている内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が、国が管理する全国百九水系にどれぐらい存在しているかを初めて調査した結果を発表した。汚染の恐れがあるとして対象になった八物質のうちプラスチック原料のビスフェノールAなど6物質を最大41水系で濃度測定した。
環境ホルモンによる人体への影響のメカニズムなどは十分に分かっておらず、水質基準は設けられていない。建設省は「実態把握の第一歩となる貴重なデータ。濃度は英国の値よりも低いが、一度だけの検査なので濃度や汚染の広がりを評価できる段階ではない」としている。
11月には河川水や底土の環境ホルモン濃度と、魚類を捕獲して異常がないかどうか調べ、来年度以降は環境庁と協力して汚染源や流入経路も調査する方針だ。
今回は7月から8月にかけ、109水系の256カ所で取水し環境ホルモン8種と比較のため人や家畜から出る女性ホルモン一種を調べた。
この結果、濃度を測定できた六物質では、プラスチックに柔軟性を持たせる可塑剤アジピン酸ジ-2-エチルヘキシルが木曽川など41水系と最も多かった。同川や淀川などの四カ所では最高濃度1リットル当たり0.16マイクログラム(1マイクログラムは100万分の1グラム)を測定。
次いでビスフェノールAが34水系(最高濃度1.40〇マイクログラム)、可塑剤のフタル酸ジ-2-エチルヘキシルが30水系(同9.40マイクログラム)、洗剤が分解してできるノニルフェノールが21水系(同1.90マイクログラム)など。女性ホルモンは64水系で測定された。
プラスチックから可塑剤が溶け出すこともあるため製造工場だけでなく家庭、廃棄物処分場なども汚染源と考えられ、検出された場所や水系にはばらつきがある。
また、多摩川と淀川では下水処理場に流入する水と処理後に放流する水も調査。放流水の方が濃度が低く処理場が環境ホルモンを除くのに役立っていることが分かった。
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