「ペレット有害物質を吸着し運ぶ−東京農工大」

生物への悪影響懸念

〜沖縄タイムス1998/07/25夕刊・総合〜

 東京都内などの海岸に漂着したレジンペレットと呼ばれるプラスチック粒子にポリ塩化ビフェニール(PCB)などの有害物質や、生物のホルモンの働きを乱す内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)が含まれることが東京農工大の高田秀重助教授らの分析で25日までに分かった。
 環境中にある有害物質を吸着したらしく、日本各地の海岸で発見されているペレットが汚染物質の運搬役となっていることを示唆する結果。ペレットが海鳥など生物の体内に取り込まれ悪影響を与えることが心配されるという。

 高田助教授は、国立医薬品食品衛生研究所や環境保護団体と協力し集めた国内3カ所のペレット数10粒に含まれるPCBや、農薬のDDTが環境中で変化してできるDDEなどの濃度を分析した。

神奈川県の鵠沼(くげぬま)海岸で採取したペレットには、PCBが1g当たり 259ナノグラム、DDEが同 15.3ナノグラム含まれ、東京都内のペレットはそれぞれ 102ナノグラム、 1.8ナノグラムだった。島根県内で採取したペレットはそれぞれ3ナノグラム、 0.6ナノグラムとかなり低かった。

PCBやDDEの良は東京都内の河川のたい積物中の濃度と同じか、やや高いレベルで、ペレットが環境中に残存しているPCBなどを吸着したと考えられた。

鵠沼と都内のペレットは、プラスチックの添加剤に使われ環境ホルモンの働きがあるとされるニニルフェノールの良も多く、一部はペレット内部から溶出したらしい。

ペレットは工場で加工される前のプラスチックの中間原料で、日本を始め各国の海岸などで発見され、海洋汚染が問題になっている。

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