〜沖縄タイムス1998/07/08夕刊・社会〜
環境保護団体、グリーンピースは8日までに、ダイオキシンなどの有害化学物質の汚染が極めて深刻な世界各地の12カ所を選んだ報告書をまとめ、国連環境計画(UNEP)に提出した。日本からは廃棄物の不法投棄が原因の環境汚染が問題になった香川県の豊島(てしま)がリストに加えられた。 グリーンピースは「リストに選んだのは、ほんの氷山の一角にすぎない」と、各国政府に有害化学物質汚染対策を強化するよう求めている。 選ばれたのは日本、トルコ、ネパールなど計11カ国の化学物質汚染地帯。 豊島について報告書は「人口約1500人の島に、17年間にわたって約50万トンの有害廃棄物が違法に持ち込まれた。ダイオキシンによる汚染だけでなく、PCBや水銀、有害な有機塩素化合物が検出された。環境汚染対策に要する費用は200億円と見積もられている」とした。 巨大な化学工場が多数立地しているロシアのジェルジンスクという町では、ロシアの土壌の基準を千八百八十倍も上回るダイオキシンが検出された。 死亡率が出生率の3倍、75%の子供に先天的な奇形が見られるという。 オーストラリアのシドニーでは、2000年のオリンピック会場近くの海で高濃度のダイオキシン汚染が確認され、20年前まで操業していた米国の農薬会社が原因とされている。 このほか、1997年7月にプラスチック工場の火災で大量のダイオキシンが発生したカナダ・ハミルトン市、1980年代後半に操業を止めた後も有害な農薬のDDTが大量に放置されているバングラデシュ・チュタゴンの農薬工場跡地、PCBや農薬の汚染が確認されたフィリピンの旧米国クラーク空軍基地跡地などが、豊島と共にリストに掲載された。