〜沖縄タイムス1998/06/09朝刊〜
ごみ問題を考えるシンポジウム「環境汚染の少ないゴミ処理のあり方をめざして」が6日、具志川市商工会館で行なわれた。県内各地から多くの参加者がごみ処理の実情や問題点を学び、市民の意識を変革し行政と協力して対策を進めなければいけない、などと話し合った。
パネリストは市民代表として「中部北ゴミ問題を考える連絡会」の伊波義安さんと南風原町女性連合会前会長の照屋勝子さん、行政の代表として具志川市環境保全課長の吉里文男さんと南風原町環境保健課の大城信彦さん、専門家としては地球環境問題に取り組んでいる市民団体・ネットワークまつしま「地球村」の泉水朝全さんの五人。
実際にごみ処理場を見て調べている伊波さんは「ゴミ焼却場の耐久年数は15年と言われているが、中部北では具志川市の22年を最高にいずれも耐久年数を過ぎており操業開始時に比べるとかなり処理能力は落ちている。処理できず不完全燃焼するとダイオキシンが発生する可能性が高い。また発生したダイオキシンの八割は灰に残るのに、その残灰が具志川では天願川の上流に野積みされている」と報告。
さらに処分場やその周辺の毒性物質についても具体的に調査がないことを指摘し、行政が正確な調査をし結果を市民に公開することを提言。住民、学識経験者、行政が一緒に連絡会を開く必要性を訴えた。
吉里さんは具志川市はモデル地区で資源ごみ回収を初めているにもかかわらず、三種分別もまだ徹底されてない、中身の見えない黒いごみ袋が80%ある、などの実情を話し市民意識の向上を求めた。
大城さんは南風原町で五種分別・門口収集を導入する経緯や現状を紹介。分別を徹底する中で町民の意識も向上したとし、学校での環境教育の影響力の大きさを指摘。照屋さんは古紙リサイクルしたトイレットペーパー開発にかかわった町女性会の活動を話した。
泉水さんは日本では環境問題に対する認識に深刻さが足りないと指摘し、ヨーロッパの活動や国民投票で決まったドイツの循環経済法などを紹介。「市民が変わらなければ状況は変わらない。行政まかせではいけない」と力説した。
フロアからも時間をオーバーするほど質問や意見が出た。「これからつくるごみ焼却場はどうすればいいか」との質問に泉水さんは「国が勧める24時間連続運転する高温の炉だけではだめ。ダイオキシンフィルターを使ったほうが確実で安上がり」と答えた。
このほか「中部北の五市町村すべての担当者と市民との勉強会、話し合いを何度も開いて」といった要望も上がった。
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