「広域化が最大課題」

県はデータ集積と分析を



〜沖縄タイムス1998/06/08朝刊〜

ごみ処理 国に財政支援強化と環境基準設定を要望

 発がん性などが指摘されているダイオキシンについて共同通信が47都道府県を対象に行った調査で、対策を進める上で最重要課題はごみ処理の広域化計画の策定と考える自治体が22自治体と最も多いことが7日、分かった。国に対しては財政支援の強化に加えて、大阪府能勢町のごみ焼却施設周辺で起きた高濃度の土壌汚染問題などを背景に、土壌や水質の環境基準設定を求める声が多い。財政難の中、国が推奨するごみ処理の広域化や環境浄化対策を担う自治体の悩みが浮かび上がっている。

計画策定に難題

ダイオキシン問題はこの1、2年間にクローズアップされ、急きょ国の対策が打ち出されただけに、廃棄物処理行政の現場に戸惑いや不安が強いことが都道府県へのアンケート結果からうかがえる。中でも厚生省がダイオキシン対策の"切り札"として打ち出したごみ処理の広域化計画策定については、多くの自治体が問題を抱えている。
 不完全燃焼によるダイオキシン発生を防ぐため、高温の燃焼が可能な大型焼却炉で23時間ゴミを燃やせるようにするのが広域化の狙い。厚生省は昨年、1日の焼却量が100トン以上の炉だけを補助金の対象にすることを決めた。だが、過疎化した地域ではそれだけのごみを集めること自体が難しい状況にある。
 アンケートでも「広域化しても100トンに満たない地域が出る」(鹿児島)、「面積が広く、人口が少ない地域の実情に配慮した補助制度を検討して欲しい」(高知)などの声が相次いでいる。
 国の推奨する300トン以上の焼却施設を作るには約150億円が必要とされるだけに財政負担も大きい。「全国一律にやれと言われても住民の理解が得られるかどうか」(福井)との不安もある。
 広域化と並んで大きな問題は、土壌や水質の環境基準がないことや調査・研究の遅れ。「基礎データが少なく、化学的根拠が薄いまま住民の不安が増大している」(熊本)、「どの程度の濃度なら危険なのか分からない」(大阪)などと、国に早急な対応を求めている。

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