〜沖縄タイムス1998/06/02朝刊〜
世界保健機関(WHO) 欧州事務局などが猛毒の化学物質ダイオキシン類の「耐容1日摂取量」(TDI) 見直しのために先月末開いた専門家会合で、TDI
の評価対象になる「ダイオキシン類」に同様の毒性を持つ「コプラナPCB 」を含めていたことが1日、分かった。コプラナPCB は日本ではダイオキシン類とされていないが、日本の汚染レベルは世界的にも高いとされている。各国のダイオキシン規制はWHO の方針を参考にしており、日本政府もコプラナPCB をダイオキシン類に含めることなど、規制の抜本的な変更を迫られることになる。
■迫られる国内の見直し
WHO は昨年6月、コプラナPCB の毒性についての評価を実施。今回の会合でTDI を現行の体重1kg当たり10pgから5分の2以下の4〜1pigに厳しくすると同時に、コプラナPCB の毒性発生メカニズムがダイオキシンと類似することを重視し、ダイオキシン類に含めることにした。
コプラナPCB は、ポリ塩化ビフェニール(PCB) の 209の同族体の一部の総称で、1968年、福岡県などで発生したカネミ油症の原因物質とされている。日本は汚染レベルが高く、摂南大学の宮田秀明教授の試算では大都市地域住民は1日体重1kg当たり8.73pgを摂取している。ダイオキシンの3.72pgと合わせると12pgを超えており、日本の現在のTDI を既に超えている。
コプラナPCB については、国内でもダイオキシン類として規制対象にすべきだとの意見が学者らから出ていたが、政府は「リスク評価を行うための環境濃度などのデータが不足している」として「国際動向も踏まえつつ検討する課題」とするにとどまっている。
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