「厚生省がごみ減量へ特措法検討/県ごとに整備計画、店頭での回収支援も」



〜朝日新聞1999/03/29朝刊〜

   厚生省は、廃棄物の減量化を進めるための特別措置法制定に向けて検討を始めた。 廃棄物処理法などはすでにあるが、家庭ごみなど一般廃棄物と産業廃棄物を合わせた 廃棄物全体の減量化を法律で規定するのは初めて。これまであいまいだった、 都道府県知事が不適正な廃棄物処理施設の設置を不許可にできる根拠や、 国や自治体が関与して廃棄物処理施設の計画的な整備を促進することも示す。 廃棄物の減量化は「ダイオキシン対策関係閣僚会議」が30日にまとめる基本指針に 盛り込まれるため、厚生省はできるだけ早く法制化を目指したいとしている。

 特別措置法では、まず厚相が廃棄物の減量と処理施設の計画的な整備についての 基本指針を策定、それに基づき、都道府県知事が整備計画をつくることを規定する。 整備計画の中で、廃棄物減量の目標値▽必要となる廃棄物処理施設の数▽処理施設の 立地と規模、配置▽処理施設周辺の環境保全のための措置を定めるとしている。

 同時に、計画に適合しない場合、知事は処理施設の設置を許可してはならないとも規定、 これまではあいまいだった不許可の判断基準も法的に明確化し、不適正施設の設置を規制する。

 また、廃棄物処理を効率的に適正に行う施設を計画的に整備するための規定も明示する。 民間主導の社会資本整備(PFI)の手法を取り入れた処理施設の整備に、税制上の措置 などで必要な資金を確保することなどが盛り込まれる。

 具体的な方策として、容器包装リサイクル法の徹底を図って、一般廃棄物は2、3割の 減量化を進めるとしている。ごみの分別を行う施設への補助金や分別収集を積極的に実施 している市町村に対する財政的な支援措置なども検討。食品用トレーなどの再生利用や、 レジ袋の廃止などに積極的に取り組んでいるスーパーなどの事業者に対して、行政が支援する 仕組みなども考えたい意向だ。

 産業廃棄物は、通産、建設など他省庁と協力・連携して、各産業でリサイクルを推進すると 同時に、廃棄物の排出そのものを抑制する仕組みをつくり、廃棄物の減量化を進める。

 リターナブルびんの普及や使用後の再利用、処理を考えた製品を設計するなど製造者の 役割を定めることなども検討対象としている。産廃の中でも特に問題となっている建設廃材は、 建設省を中心に、家屋などの解体に伴う木くず、コンクリート類などを分別回収し、 リサイクルを徹底する新しい法制度を検討する。

 30日の「ダイオキシン対策関係閣僚会議」で減量化の目標量を半年以内に設定することが 決まる。この方針を受けて、厚生省は他省庁の協力を得ながら、市町村や産業界に廃棄物の 減量化を要請、目標量を決める方針だが、実効性を持たせるために、処理施設の計画的整備を 含めた法制定が必要と判断した。

 しかし、減量化について法律で規定することは、廃棄物の排出そのものを抑制する仕組み づくりにもつながるため、各方面からの反発も予想される。

 現在、全国で年間に排出される廃棄物は産業廃棄物(約4億トン)と一般廃棄物 (約5000万トン)を合わせて約4億5000万トンにのぼる。リサイクル率は産廃が 37%、一般は10.7%。

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