〜朝日新聞1999/03/10朝刊〜
環境庁は今月、東京湾、瀬戸内海など4カ所の海と湖の泥に含まれるダイオキシンを調べる。長さ1メートルのパイプを底に打ち込み採取、ダイオキシンが年代別にどのような組成をしているかを分析する。泥や土壌など環境中に蓄積されたダイオキシンのうち、焼却炉や農薬など排出源ごとの内訳もよくわかっていない。同庁は、全国的な調査によって「年代ごとの汚染レベルや排出源ごとの影響を調べることで対策に役立てたい」(環境リスク評価室)と話している。
調査は、東京湾が6カ所、瀬戸内海水島沖が2カ所、霞ケ浦(茨城県)が3カ所、榛名湖(群馬県)が1カ所の計12カ所。それぞれ、潜ってアクリル製のパイプ(直径20cm、長さ1m)を打ち込み、底泥を採取。それに含まれたダイオキシンを分析する。底質の層ごとに鉛を使って年代測定を行い、ダイオキシンと比較する。
これまでに、こうした調査は京都大学の酒井伸一助教授のグループが大阪湾と琵琶湖で実施したことがある。それによると、例えば琵琶湖は、1840年代から1910年代までは1グラム中に10ピコグラム(1ピコは1兆分の1)以下と低く、濃度変化もほとんどない。だが、1960年代から急速に
上昇し、1973年に約30ピコグラムとピークに。その後やや下がったものの横ばい状態が続いているという。
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