〜朝日新聞1999/02/06朝刊〜
テレビ朝日の報道が引き金となって埼玉県所沢産の野菜販売を大手スーパーが
一斉にやめた問題で、JA所沢市は7日、早ければ今週前半にも、野菜のダイオキシン調査結果を
公表する方針を固めた。これまでは「国の安全基準がない以上、数字が独り歩きする」
として公表を拒んでいたが、販売中止騒ぎが収拾する見通しがたたない中、
公表は避けられないと判断した。
JA所沢市は1997年、組合員の要請で所沢産ホウレンソウなど5品目のダイオキシン濃度を
調査した。所沢市が公表を求めていたが、拒み続けた。テレビ朝日が「JAが公表しないのは
おかしい」として、民間研究所の調査結果を独自に報じたのが、販売中止騒ぎのきっかけと
なった。
埼玉県は独自の野菜調査に乗り出すとともに、JA所沢市にもデータの開示を要請。
JA側も公表に踏み切ることになった。
幹部の一人は「内部で協議した結果、事態を沈静化するために公表した方がいいと判断した。
県、県農協中央会の立ち会いのもと、記者会見を開いて、数値をきちんと説明したい」としている。
また、別の幹部はJA所沢市の調査結果について「テレビ朝日が報道した数値より、
はるかに低い」と話している。
一方、県農協中央会などでは連日のように対策会議を開いている。
「露地ものの野菜はビニールハウスなどで覆う」「国に安全基準を設けるように要請する」などの案が出ている。
土屋義彦知事は8日、安全基準の早期制定と全国規模の野菜のダイオキシン調査を求めて、
農水省、厚生省などを訪ねる。
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