「埼玉県、実態調査へ──ダイオキシン汚染野菜問題」



〜朝日新聞1999/02/05朝刊〜

 「埼玉県所沢産の野菜はダイオキシン濃度が高い」とテレビ朝日が報道したのをきっかけに、 大手スーパーが相次いで所沢産野菜の販売を中止した問題で、埼玉県の土屋義彦知事は 4日記者会見し、「調査をせずに安全とは言い切れない」として、県内全域で野菜の ダイオキシン調査に乗り出すと発表した。一方、所沢産野菜を敬遠する流通業界の 動きはこの日も広がっており、青果市場では半値以下の取引が続いている。

 所沢市周辺には産業廃棄物の焼却炉が集まり、ダイオキシン汚染の不安が広がっている。 この地域の野菜を調査するよう市民団体から要望が出ていたが、県は 「安全性を示す全国的基準もない」として消極的だった。

 土屋知事は「調査を始めるのが遅かった」と対応の遅れを認め、 「生産者や消費者に不安を与えないよう努める」と話したが、調査方法や公表時期は 明らかにしなかった。政府に基準づくりを求めながら、県独自で調査を進めるという。 テレビ朝日には、報道の根拠となるデータの提示を求める考えを示した。

 ●「農水省も調査急ぐ」──事務次官

 埼玉県所沢市でとれた野菜がダイオキシンで汚染されているとのテレビ報道を きっかけに大手スーパーなどが相次いで同県産野菜の仕入れを中止している問題を巡って、 農水省の高木勇樹事務次官は4日の定例記者会見で、農水省としても 「できるだけすみやかに調査する」ことを明らかにした。


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