〜朝日新聞1998/12/25朝刊〜
東京都品川区上大崎の旧予防衛生研究所(現在の国立感染症研究所)の地下焼却炉付近のすすから、1グラム当たり3万3000ピコグラム(1ピコグラムは1兆分の1グラム)の高濃度のダイオキシンが検出されたことが、明らかになった。1992年の移転時に閉鎖された炉だが、厚生省によると、1993年以前に使用開始された焼却炉の平均値の2倍を超えている。周辺土壌からも、通常より高い 100ピコグラムが検出されている。
跡地開発を計画中の住宅・都市整備公団が11月、土壌汚染とともに調べた。
調査によると、焼却炉を設置してあった地下室の天井のすすから、1グラム当たり3万3000ピコグラムを検出したほか、煙突内の灰からは最大3400ピコグラム、炉の灰からは 720ピコグラムを検出した。
灰やすすに、ダイオキシン濃度の基準はないが、厚生省調査(1996年度)によると、1995年度以降、使い始めた全国の焼却炉の飛灰の平均値は2500ピコグラム、それ以前の焼却炉は、1万4800ピコグラムだった。
旧予研の焼却炉は2基あり、1973年と、1978年に設置し、1992年の移転直前まで使っていた。ビニール袋に入れた書類や、マウスなどの小動物を焼いていた。
周辺の土壌の濃度は、36ピコグラム〜 100ピコグラム。環境庁の暫定指針値1000ピコグラムの範囲内だ。しかし、宮田教授は「大都市でも住宅地なら20ピコグラム以内だ。煙突から広がった可能性が高い」と話す。
|