「「塩ビだけが有毒発生源じゃない」−業界が反論/「代替材料でもダイオキシン」−訴訟も」と強硬姿勢」



〜朝日新聞1998/11/19朝刊〜

 塩化ビニル樹脂・原料の製造業界団体である塩ビ工業・環境協会の金川千尋会長(信越化学工業社長)は18日の記者会見で、ダイオキシン問題に絡めて一部の企業が塩ビ代替製品を売り出す動きについて、「代替物質もダイオキシンを発生させるのに、それを確認もせず、塩ビだけが発生の元凶であるかのような宣伝をしている場合がある。事実に反する内容に対しては法的措置で対抗する」と述べ、不当な「脱塩ビ」宣伝製品に対しては訴訟も辞さないとの強い姿勢を表明した。

 有毒物質のダイオキシンを発生させるとして塩ビ製品が批判されているため、たとえば食品包装材などで、流通業者の求めに応じて塩ビに代わる材質の新製品が「脱塩ビ」「環境にやさしい」といったうたい文句で発売されるケースが増えている。塩ビ協会によると、代替材料も燃やせばダイオキシンを発生させる場合があるのに、それを隠して、ダイオキシン問題対応商品として売り出すような場合については、これまでのべ数十回、抗議してきたという。

 金川会長は「正当な宣伝によって、環境問題や経済性も含めた総合力で塩ビが敗れていくのであれば、それはやむを得ない。しかし不当な宣伝で塩ビにダメージを与えている場合には断固対抗する」としている。

 同協会は「ゴミ焼却炉が高温度で燃焼できるものであれば、ダイオキシンは発生しにくい。ゴミに占める塩ビ製品の割合もわずか。塩ビをなくしても他のゴミからも発生するのに、塩ビだけを悪者にするのはおかしい」と反論する。

 もともと国内では塩ビは供給過剰状態であるうえ、主用途の建材需要は住宅・建設不況で大きく下落。世界トップメーカーである信越化学も国内の塩ビ事業は不調で、他の塩ビ各社も経営面では苦しい状況が続いている。ダイオキシン問題による「脱塩ビ」の動きが拍車をかける恐れがあり、今回のような強硬姿勢にもつながっているようだ。

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