「ダイオキシン、埼玉の川で高濃度─環境庁調査・大気や土壌・ハトからも検出」



〜朝日新聞1998/10/24朝刊〜

 埼玉県の河川水から1リットル当たり6〜19ピコグラム(ピコは1兆分の1)のこれまでにない高い濃度のダイオキシンが検出された。23日、環境庁がまとめた今年度の総合調査結果からわかった。産廃焼却場が密集する所沢市、川口市、草加市、狭山市などに焦点を当てて調べたところ、大気、ばいじん、土壌、ハトなどから高い値が出た。環境庁は「河川の値は、産廃焼却場からだけでなく、近くの工場群からも何らかの理由で排出された可能性もある」と詳しく調べる方針だ。

 環境庁はこの春、産廃焼却場が密集し、住民紛争が起きている埼玉県の所沢市などで大気、水質、土壌、植物などを一斉調査した。

 河川水は、草加市の綾瀬川から1リットル当たり19ピコグラム、戸田市の笹目川から7.8ピコグラムの値が検出された。同庁が昨年全国の主要河川で調べた12地点の同0.005〜3.9ピコグラムと比べて、極めて高い値となった。ダイオキシンは水に溶けにくく、1ピコグラムを超えるのは少ない。綾瀬川と笹目川は荒川に流れ込んでいる。

 また土壌は、狭山市と所沢市で1グラム当たり140ピコグラム、松の葉からは最高同24ピコグラムが検出された。これらは、環境庁が県内で比較的汚染が少ないとして選んだ秩父市の濃度と比べて、それぞれ14倍と10倍あり、かなりの高濃度であることがわかった。

 大気も川口市と草加市が1立方メートル当たり2.6ピコグラム、戸田市が同1.5ピコグラムなどと軒並み、環境庁が定めている指針値の同0.8ピコグラムを大きく上回った。また、ばいじんと大気が動物にどの程度摂取されているかを調べるために、今回初めてドバトを解剖して調べたところ、最高で同5.3ピコグラムが検出された。

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