〜朝日新聞1998/10/06朝刊〜
東京都の清掃工場建設に反対する住民約1000人と都との調停を続けていた都公害審査会(会長・斎藤弘弁護士)は5日、工場の稼働前にも大気や土壌中のダイオキシン類を測定するといった、法規制を上回る対策を都に求める調停案を勧告した。総理府の公害等調整委員会によると、自治体の清掃工場の環境汚染対策について、都道府県の審査会の勧告は初めて。都は受け入れる方向で検討を始めた。
調停案では、稼働後と比較ができるよう、稼働前に、工場の半径5キロ以内の4カ所以上で大気と土壌中の濃度を測定し、結果を公表することを求めている。
また稼働後は、工場からの排ガス中の濃度を少なくても半年に1回、定期的に測定するよう定めた。
大気汚染防止法や廃棄物処理法などでは稼働前の測定は義務づけられておらず、稼働後の排ガス中の測定も、「年1回以上」となっている。
住民側は地元住民の血液や母乳中のダイオキシン類の濃度測定も求めていたが、「地元住民の母乳中にダイオキシン類がどの程度蓄積するか監視することは必要だが、都全体の調査で推測できる」として、調停案には盛り込まなかった。
申請者側の樋渡俊一弁護士は「法律より踏み込んだ自治体の対策を求めており、意味は大きい」と話している。
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