〜朝日新聞1998/07/25朝刊〜
宮城県河北町で民間業者が今年4月から試験的に操業を開始している産業廃棄物焼却炉について、仙台地裁(石井彦寿裁判長)は24日、ダイオキシン類などによる健康被害の恐れがあるとした住民側の主張を認め、焼却炉の操業停止を命じる仮処分決定を出した。住民側代理人は、操業中の産業廃棄物処理施設の運転差し止めが認められたのは画期的だとしている。
焼却炉は地元の材木店経営者が建設し、4月11日から試験操業した。業者側は、一日の処理能力は5トン未満としている。住民 177人が、操業差し止めを求めていた。
決定書は、焼却炉からダイオキシン類などの有害物質が排出される可能性を検討。
1)ダイオキシン類の発生を防ぐには燃焼温度を常時 800度以上に保つことが必要だが、この焼却炉では一日8時間稼働のため不可能
2)焼却炉から出る排ガス温度がダイオキシン類が最も発生しやすい 300度なのにガス冷却装置を備えていない
3)木くずや紙くずだけの燃焼でも、 800度以下ではダイオキシンの発生は避けられない
などと指摘。焼却炉の操業で多大なダイオキシン類を排出することは避けられないとした。そのうえで、住民の住まいなどの近くに焼却炉があることを考慮すれば、住民らは相当深刻な被害を受ける可能性があるとして、操業停止を命じた。
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