「環境庁が化学物質の排出実態公表の法制化を諮問」



〜朝日新聞1998/07/18朝刊〜

 環境庁は工場・事業所から排出される化学物質を自治体に報告させ、公表する環境汚染物質排出・移動登録制度(PRTR)の法制化に向け、17日までに中央環境審議会に諮問した。

 環境保健部会で検討、年内に答申を受け、来年初めの通常国会に法案を提出する予定だ。すでに愛知県と神奈川県の一部でパイロット事業を実施、 134物質が年間計2万トン排出されたことがわかった。同庁は産業界の理解を得ながら化学物質を総合的に管理する法案を目 指したいとしている。

 化学物質の規制については、製造面では化学物質の審査・製造規制法があり、環境面では大気汚染防止法がある。
だが、膨大な数の物質の排出について、個々の物質を規制する大防法では有効な手が打てないことから、同庁は化学物質をどれだけ排出したかを事業者が把握し、その量を行政が公表、指導することで、事業者の排出削減努力を促す制度が必要としていた。

 環境保健部会では(1)欧米のPRTRの先行事例を参考に日本でどのような制度がふさわしいか(2)それ以外に、どのような環境対策が必要か――を検討する。

 産業界が個別の事業所のデータを公表することに強く抵抗しており、どの程度まで個別企業のデータを公表できるかが、法案づくりのカギとなりそうだ。

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