〜朝日新聞1998/05/24朝刊〜
猛毒物質のダイオキシン類が野鳥の体内にも高濃度で含まれていることが、愛媛大学の脇本忠明教授らが韓国で実施した調査でわかった。野鳥のダイオキシン汚染に関するデータは国際的にもほとんどなく、食物連鎖を含めた自然界の汚染実態解明に役立つと見られる。6月4日から京都市で開かれる環境科学討論会で発表される。
同大グループは、韓国の慶南大学と共同で1992年から1994年にかけて釜山に近い洛東江の河口付近にいたウミネコやカモメなど11種41羽を調査し、昨年から体脂肪を分析していた。
その結果、すべての鳥からダイオキシン類が検出され、うち留鳥のウミネコ(計10羽)は、最も毒性の強いダイオキシンの種類に換算した値で体脂肪1グラム当たり558.4ピコグラム(1ピコは1兆分の1グラム)を計測するなど、平均131.7ピコグラムで最高だった。渡り鳥のユリカモメ(5羽)は最高90.0ピコグラムで平均35.6ピコグラムだった。
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